退職代行で失敗するケース
退職代行を使って失敗したという話はよく耳にしますが、退職代行で失敗するケースはなぜ起こるのでしょうか?
それは、本人の代わりとなって退職交渉ができない退職代行会社に依頼したから。


退職代行には「民間企業運営・弁護士運営・労働組合運営」の3つの種類がありますが、弁護士・労働組合の退職代行は依頼者の代わりとなって会社との交渉が可能ですが、民間企業の退職代行は法的な交渉権限は持っていないため、依頼者の希望を伝書鳩のように会社へ伝える「通知」しかできません。
その為、民間企業が運営する退職代行に依頼してしまうと会社側の対応によっては失敗する可能性があるのです。
典型的な失敗例
私どもでは労働組合の業務として、退職代行を利用して失敗した方への相談を受け付けていますが、その中でよく聞く典型的な失敗例についてご紹介してみましょう。
失敗例1
退職代行を行う際は必ず会社へ「ご本人との直接のご連絡は避けていただくようお願いします」とお伝えします。
退職代行とは退職や退職手続きについて本人の代わりに対応を行う(=代行)ことなので、会社に依頼者との直接の連絡を断ってもらうのは必須となります。
労働組合や弁護士の退職代行であれば、依頼者の代わりに交渉することが法律で認められているため何ら問題はないのですが、民間企業の退職代行は代理権限も交渉権限もありませんので、会社側が「では、本人に直接確認しますね」と言われたらそれ以上の依頼も交渉もできません。「そのようにご本人にお伝えします」としか返せません。
その結果、会社から電話やメール・LINEが直接本人に入り「せっかく費用を払って退職代行に頼んだのに…」となってしまいます。
ちなみに会社からの連絡は無視できません。無視してしまうと無断欠勤扱いになってしまい、欠勤期間中の有給取得や給与支給が認めてもらえないといったこともありえますので注意しましょう。
失敗例2
次のケースは先程よりもより深刻です。
退職代行を行う際、通常は電話で会社へ連絡を行いますが、その際、会社がやり取りを拒否してくる場合があります。
労働組合や弁護士の退職代行であれば「法律で認められているので拒否することは認められません」と交渉を続けることができますが、民間企業の退職代行は「わかりました。そのようにご本人へお伝えします」としか言えず退職内容を会社へ伝えることはできません。
その為、民間企業の退職代行は、依頼者本人から退職届と合わせて「要望書」なる書面を会社へ郵送させて退職を確定することになりますが、給与支給や有給取得・必要書類の請求については対応してくれるのか全く分からない状態のまま退職日を迎えることになります。
こういった場合、例えば給与が振り込まれない、離職票や源泉徴収票などの書類が届かないということになっても、退職代行は会社に伝えてくれません(連絡しても会社が取り合ってくれません)のでご自身で書面や電話で会社に連絡するしかありません。
民間企業の退職代行は退職が確定した時点で業務終了となりますので、給与未払いであれば労働基準監督署、離職票であればハローワーク、源泉徴収票であれば税務署で対応してもらうよう伝えられます。
さらに労働基準監督署などの公的機関に相談に行っても「まずはご自身で会社へ連絡してください」と言われますので、ご自身で連絡できないという方は泣き寝入りすることになってしまいます。
退職代行で失敗しないために
退職は働く人の自由が認められており、法律で手厚く保護されていますが、会社側が悪意を持って対応した瞬間に民間企業の退職代行は失敗してしまいます。
民間企業の退職代行だから必ず失敗するわけではありませんが、労働組合や弁護士の退職代行に比べて失敗するリスクは格段に高いということは覚えておく必要があります。
失敗しない退職代行の選び方
退職代行は現在、全国に100社以上存在しますが、その6割以上が民間企業が運営する退職代行です。
民間企業の退職代行の中には、表面上は労働組合運営をうたっているが実態は民間企業が運営している悪質な「偽装労働組合」の退職代行も存在しています。
民間企業の退職代行を見極めるためには、ホームページの「運営者情報」や「特定商取引法に基づく表記」のページを確認してみましょう。ページに株式会社などの民間企業の名前があれば、民間企業が運営する退職代行です。
また、退職代行の料金の振込先となる銀行口座の確認も有効です。振込先口座が民間企業名または収納代行会社の場合は、労働組合運営をうたっていたとしても民間企業が運営する退職代行といえます。
参考までに主要な民間企業の退職代行会社をご紹介しておきましょう。
主な民間企業運営の退職代行
- 退職代行モームリ
- 退職代行EXIT
- やめたらええねん
- 退職代行トリケシ
- 退職代行リーガルジャパン
- 退職代行やめるもん
- 退職代行ネルサポ
- 退職代行SARABA
- 退職代行Jobs
- 退職代行OITOMA
- 男の退職代行
- 退職代行わたしNEXT
退職代行で失敗したくなければ「民間企業の退職代行は避ける」のがおすすめ。
依頼者の代わりに交渉することが法律で認められている労働組合や弁護士の退職代行を利用するようにしてください。
特に労働組合の場合は民間企業の退職代行と比べて価格差はほとんどありませんので、より安い料金でお探しであれば労働組合の退職代行を選ぶのが良いでしょう。
