退職代行モームリの違法性について【見解】
退職代行モームリ(東京都品川区)の違法性の有無について複数のメディア様よりお問い合わせをいただいておりますので、2025年4月17日に公開された週刊文春の記事
「モームリで働くことが『モームリ!』に…」元従業員が告発する「退職代行モームリ」のブラック実態《あいつぐ退職者、法律違反の疑いも》
に関連した私どもの見解を以下の通りまとめておきます。
退職代行モームリは違法と考えます
結論から言えば、退職代行モームリについては運営手法に大きな問題があり、当組合として「違法」と考えています。
退職代行モームリでは、
- 弁護士 監修(オーシャン綜合法律事務所 梶田潤弁護士)
- 労働組合 提携(労働環境改善組合)
- 民間会社 管理(株式会社アルバトロス)
の3つの特徴(私どもでは “三店方式” と呼んでいます)による退職代行を謳っています。
退職代行は言い換えると「雇用契約の解除を依頼人に代わって行う」ということです。そのため「退職意思を会社へ伝えるだけ」といった特殊なケースを除いて「法律行為」に該当し、株式会社などの民間企業が運営する退職代行会社は違法(非弁行為:弁護士法72条違反)とされています。
一方、退職代行モームリは、労働組合と提携しているため会社と交渉することができ、法的案件は弁護士に確認を取って対応しているので適法(合法)であると主張しています。
しかしながら、適法に会社と交渉できるのは「労働組合または弁護士のみ」であって、労働組合や弁護士と提携していたり監修を受けている者ではありません。
退職代行モームリ(もしくは管理する株式会社アルバトロス)が弁護士でも労働組合でもない以上、彼らの主張には無理があると言えるでしょう。
このことは東京弁護士会も同様の認識を示しています。東京弁護士会が出している退職代行のガイドラインの該当箇所を引用してみましょう。
【事例2】
・本人の要望は、契約期間の途中で会社を辞めること、及び在職中に受けたパワハラの慰謝料を請求することであった。
・業者は、労働組合と提携しており、法律的な問題について話し合い(交渉)になったら、提携先の労働組合が行うとしていた。本人は、業者に代金を支払って、依頼した。
・業者は、本人に代わって、会社に対して伝えたところ、会社側は「パワハラなんかしていない。」と主張した。
・業者は、労働組合と交代し、労働組合が話し合いを行った結果、会社はパワハラを認め、慰謝料が支払われることになった。
【解説】
契約期間の途中での会社を辞めること(雇用契約の解約)や、パワハラを受けた場合の慰謝料などの損害賠償請求は、法律的な問題です。本事例では、業者は、本人から代金を受け取って、法律的な問題について話し合い(交渉)になったら、提携先の労働組合が行うとしています。しかしながら、お金を受け取って、法律的な問題の処理を他者(本事例では労働組合)へ斡旋することは、非弁行為です。
法律的な問題(法律行為)を他者(労働組合や弁護士)へ斡旋することは「非弁行為」として弁護士法違反ですが、実際に以下のようなご相談が当組合へ持ち込まれています。
「退職はできたが給与が支払われない。給与未払いについて伝えても、モームリは動いてくれず、自分から会社へ連絡を取るのもいけないと言われて、高額な費用の弁護士を斡旋された」
明らかに違法と言える運営実態と言え、早急な改善が必要と考えます。
まとめ
退職代行モームリについては、退職代行の認知を広げたことへの貢献は評価しますが、その運営手法・運営実態の適法性には大きな問題があり、当組合として「違法」と考えています。